2台のIC-AT100の内の最初の1台を壊してしまいました。状況は、間違えて無負荷で送信してしまい、チューナーのバンド切替用のSWの端子を止めてるベーク材を焦がしてしまいました。不覚の思いです。花火に火をつけた時のような音がしたかと思ったら抵抗が焼けた時のような臭いがしてきました。やってしまった!最初、この時点で蓋を開け、切り替えSWの端子の黒く炭化した所をアルコールでふき取りで、まずは大丈夫かと思い、出力を10Wに下げてキャリアを出し点検してみましたが、10Wでも切替SWの一度ベークが炭化しているところは見事に燃えました。10Wの電力では問題ないとだろうと思っていたのが、打ち砕かれました。10Wでも高周波エネルギーのパワーを感じた次第です。
修理するにも、まずは、修理対象物の確認からです。
焦げた切替SWを取り外すには、コイル、トランス、レギュレータ、DCDCコンバータなどを取り外さないといけませんでした。結構な手間がかかりましたが、何とか切り替えSWの問題の箇所を外すことが出来ました。

 SWのネジにはネジロック剤       ネジロックのナットを取り外し中
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コイルに接続されている7MHzの端子が焼け焦げた個所でした。完全に止めている金具が抜けてしまうほどベーク板が高周波で焼け焦げ炭化していました。

ベーク材が焼け焦げたSW
コンタクト端子が取れた部分
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修理パーツとしては、もう出回っていないし、代替えもなさそうなので、SWをどうにかこうにかして、修理することにしました。

修理のおおよそのやり方を考えた上での決断です。まず、焼け焦げたベークの炭化部を全部取り除きます。今回使用するのはリューター(アートリューター:R-5710)です。以前購入してドアの細かな部分の錆取りで使用したことがあります.100Vなので強力に回転します。細かな作業にはうってつけです。

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リューターで焼け焦げて炭化している部分は全部削り落とします。

端子の取り付けは、削ってしまったため当然端子の止め金具も取り付けられなくなるので、他の端子と端子を鈴メッキ線で半田付けし、その中央に位置決めようとして焼け焦げて外れた端子を半田付けし正確な位置となるように微調整を行います。いわゆる空中固定状態です。HiHi !

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回転部を手動でまわして、きちんと端子が回転部のショート板部にうまくコンタクトするかを確認します。これが最も重要な確認になります。位置が決まったら、端子を止めていた止め目金具の裏側部分を最初にエポキシ接着剤で固めます。固まってから半田付けの線材を外し、エポキシ接着剤で固めます。やり方としてはこんな感じです。
この接着剤も2種類試してみました。金属、ガラス、陶磁器用のボンドクイック5(淡色透明)と ホーロー製の補修用エポキシボンド(白色)このA剤B剤を混ぜるタイプ 下の2つです。

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最初のクイック5は短時間で作業するタイプですが、これで問題ないだろうと思いベーク板とコンタクト端子の根元の止め金具を接着してみました。

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時間が30分以上経過してから端子に少し触ってみると、エポキシなのですが、固まってはいるものの少しの負荷で端子がぐらぐら動いてしまいました。これでは回転部に引っかかる可能性があるので、ダメです。固まった部分をピンセットで全部取り除きました。購入したばかりの物ですが、今後の利用は問題ありません。継ぎ足し釣り竿のつなぎ部固定用で使用します。他も用途はたくさんありますから!
次のホーロー製の補修用エポキシボンドですが、色がさすがにホーロー用なので白色です。同じエポキシの接着剤なので念のため、使う前に混ぜ板の上で硬化後の硬さが実用的かどうかを確認しました。実際これが固まるとほんとにホーローの様にてかてかに、しかもガチガチに固くなります。こちらの接着剤を使う事にしました。端子をSWのベークに位置決め取り付けし接着後、まる1日放置しておきました。完全に固まらせるためです。接着完了後、位置決めで他端子と半田付けした部分を取り除いてから元の位置に戻し配線です。配線を半田付けするときは、アルミの放熱はさみを2つ付けて放熱し、端子には熱が伝わらないようにして半田付けを行います。この接着剤は半田付けの高温には弱いですから注意しながら半田付けします。

以上で、外していたパーツ類(トランス、レギュレータのラグ板、DC-DCコンバータ)を元の位置に取り付けネジで止めし、ケース上蓋をつける前に動作を確認します。
最初の確認は、SW部のコンタクトがうまくいっているかを電源を入れバンドSWを適当に回して、修理端子の接触部がショート回転版が回ってきたときに端子の接触部が少し動く(適度な圧がかかっている状態)ことを確認します。これは、他の問題ない端子と同じ動きをしているかの確認です。これがOKなら、実際の電力を使っての確認です。
かるく低電力(10W)で動作上問題ないことを確認しました。次に通常の使用電力100Wで確認します。問題だった7MHzでもSWには何も起こらず、チューナーも問題なく動作しました。SWの修復完了です。最後に上蓋ケースをネジ止めして修理は完了です。

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古い電子機器は、パーツがないのが本当に一番ネックとなるところです。最悪、部品取りとなる事を覚悟していましたが、何とか切替SWを修理することが出来、チューナーを復活することができました。
くれぐれも、無負荷状態での送信はしないようにしましょう。チューナーを負荷にしてはいけません。

最後に、エポキシのクイック5も硬度の問題は無いことが後でわかりました。混ぜた残りを盛り上げておいたのですが、1日経過後、触ってみるとガチガチで、ホーロー用のと同じ強度があるようです。時間が足りなかったのかと思います。
箱の表紙には、はり合わせ4分以内、固定時間15分以上、実用強度40分後なのです。(20℃時)入れ物の裏蓋に別途記載がありました。冬(5℃)では実用強度に要する時間が約60分後とあります。寒いと固まるまで時間がかかるという事でした。この60分を経過していない時に確認したのが問題だったと思います。

これからも大事に使いましょう Hi Hi !

おわり!