前にオークションで手に入れたハイパワータイプのIC-2300Dを修理するための部品取りようとしてオークションで格安(\2,300)入手したIC-2300ですが、程度がそんなにわるくないので、直して見ることにしました。

周波数がズレがあるということで出品者より以下のコメントがあったものです。
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コメントの一部
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【確認した問題(これ以外もあるかと思われます)】
送受信いずれともFズレしており、交信不可です。
出力それなりに出ていますが測定器なく不明です。
バックライトが切れており?画面表示が暗いです。
マイクで音声送信できますが、変調深さ不明です。
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また周波数は以下のとおり測定器で調べてくれていました
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とにかく周波数が低いほうへずれているようなので、調整箇所を調べて合わせることにします。確かに145.000MHzで送信しても、他のトランシーバーで受信してもSメータが振りません。受信側で周波数を低いほうへずらすとSメータがふれます。明らかに周波数ズレがありました。433MHzでも同様でした。早速周波数の調整に入ります。

先ずIC-2300のブロックダイアグラムでおおよそ見当をつけます。
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上記のPLLのブロックダイアグラム中のスワローカウンターのところの5.12MHzのX'talがどうも周波数の基準となっているようです。
次に回路図でそのX'talの周辺の回路を確認します。
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丁度 X1が該当のX'talです。このX’talの基準周波数が経年変化でズレていったか、もしくは調整トリマを回してしまったとかが考えられます。調整はC5の12PFのトリマコンデンサです。本来ならば周波数カウンターで合わせこみをするのですが、現在問題なく動作しているトランシーバーを周波数カウンター代わりにします。ただしやり方は超アナログ的なハウリングでのゼロビートでのゼロイン確認となります。ゼロインとは、周波数のビート(うなり)が周波数が近くになるにつれてビート数が減ってきて、最後にはハウリング(ピー)で周波数がドンピシャアジャストできる状態のことです。受信機が調整済みの場合は測定器代わりとなります。Hi!

以下実際のIC-2300の調整箇所の画像です。

IC-2300の上ケースをはずしたところ
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実際の調整箇所(C5:トリマ12PF)水色の電解コンデンサの上です
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案外と周波数のズレは簡単に調整できます。念のためできるだけ合わせる周波数は430MHz帯の高い周波数で行うと良いと思います。下の144MHzで合わせこむとズレが430MHzで出てくる可能性が高いと思います。周波数のズレは以上でまったく問題なく合わせることができました。
残りはバックライトと変調の具合ですが、バックライトはついてなくても特に問題ないので、そのままにしておきます。(どちらかと言うと、分解したときにランプがかなり熱を持つため液晶ディスプレーにも良くないと思われたので、現状のままとします。LEDとかに変えれば問題ないと思いますが。。。)
次の変調ですが、現状では蚊の鳴くような変調が浅い状態でした。変調を少し深くするには回路図からマイクアンプ回路のオペアンプのゲイン調整で良さそうです。
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IC5のNJM4558DのオペアンプのR50(100KΩ)の半固定VRで調整します。
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他のトランシーバと同じ程度の音量になるように適切に調整します。測定器があれば周波数偏移を調整できますが、厳密でなくても良いと思います。あまりゲインを上げすぎないことです。あげすぎると、バンドワイズが異常に広がり、隣のCHに迷惑になります。

以上で通常のトランシーバーとして生き返りました。このDUAL-BANDトランシーバーはつくりが結構頑丈で、液晶のトラブルは少しあるようですが、安定したトランシーバーだと思っています。メモリもありますし、メモリのスキャンもできます。なによりも部品に手をつけることができる、ディスクリートなのが一番です。